種籾の採取

5月になると本格的な稲作が始まります。

お米作りは、種にするお米「種籾(たねもみ)」の採取からもう始まっています。稲刈りをする10月頃出来の良い部分を選び、乾燥させ保管しておきます。

いときちでは、自分の田んぼから採取する「自家採取」と種籾を栽培する「採取農場」から購入する方法の半々で稲作を行っています。理由はいくら品種の良い種籾でも年々退化していくためです。



塩水選(えんすいせん)

5月になると中身の詰まった良い種籾を選ぶために塩水につける「塩水選(えんすいせん)を行います。

「自家採取」した種籾を塩水につけ掻き混ぜ浮き上がった籾を取り除いていきます。浮き籾が無くなったら真水で塩水を洗い流します。



浸種(しんしゅ)

種籾(たねもみ)を一斉に発芽させるために、発芽に必要な水分を吸収させる作業を行います。

これを「浸種(しんしゅ)」と言います。

浸種をする日数は水温により異なり、水温×日数が100℃になるように計算します。

水温が15℃であれば7日間、12℃であれば8日間

水温が高いほど早く吸収し催芽が早まりますが発芽ムラができやすくなります。水温が低ければ、多少の吸収ムラがあっても発芽ムラは少なくなります。このため低温が望ましいと言う考え方が一般的ですが、いときちでは徐々に温度を上げ5日間ほどで発芽させています。



播種(はしゅ)

催芽により種籾は画像のように芽が出てきます。

種まきにあたる播種には、農家さんなどはベルトコンベア式の播種機を使いますが、我が家では人力です。育苗箱に均等になるようにまきますが、勢いよく飛び散るので親父自家製のカバーを設置してまいていきます。

 



苗半作(なえはんさく)

昔から農家では「苗半作」ということわざがあります。「苗の出来によって作柄の半分が決まる」という意味です。つまり、苗を育て上げがその米の成長の大きな要素であることを示す言葉です。人で言う「三つ子の魂百まで」にちょっと似ている気もします。幼い頃の苗がひねくれていると、ひねくれたお米が出来てしまうのかもしれませんね。



代掻き(しろかき)

田植えの前に事前準備として重要な「代掻き」があります。田んぼに水を張り、土を細かく砕き、丁寧にかき混ぜて表面を平らにする作業です。代掻きには...田んぼの水漏れを防ぐ・土の表面を均し植えやすくする・雑草の発芽を抑える・有毒ガスを抜き、有機物の腐熟を促進する等の効果があるそうです。昔は牛にまぐわを引かせて行っていたそうです。



田植え(たうえ)

苗が10cmを超えてくるといよいよ田植えの始まりです。代掻きを終えた田んぼの水が落ち着いたら一気に植えます。昔の人は近所の人達が助け合って、大人数でやっていたそうですが今では田植え機を使用して植え付けを行いますので、1時間くらいであっという間に終わってしまします...が、田植えもセンスが問われます。ベテランになると真っ直ぐ綺麗なラインで植えていけますが、僕のような素人が植えるとぐにゃぐにゃと波打つようなラインになってしまいます。ある程度稲が育つとそれも分からなくなるので、早く成長することを祈ります。




水(みず)

稲が成長するのに絶対に必要なものは「水」

天候は昔の人達のように祈ることしか出来ませんが、水は調整ができます。山からの水には自然の恵みが含まれていますので、絶やすことなく田んぼの様子を朝、夕散歩がてら見にいきます。日照り続きで減っていれば入れ、万が一大雨で溢れそうな場合は抜きの繰り返しです。



中干し(なかぼし)

水が張られたままの水田には、酸欠の状態になり微生物や菌が有機物を分解しながら有毒ガスを発生させます。有毒ガスが増えると根の生育を妨げ、根痛みの原因になると言われています。また、水稲には適切な分げつが必要ですが、過剰にならないよう調整することが必要です。過剰に分げつになると葉の十分な日が当たらなくなり、下葉枯れを引き起こし、葉数が増えれば穂数も多くなり栄養も分散、品質・収穫量・食味の低下につながります。なかなか難しいですね...

そこで必要なのが中干しとなります。水を抜いた水田は乾燥によって亀裂が入りそこから溜まっていた有毒ガスが抜け、過剰な分げつを抑え、田面が固まる事により収穫の際稲刈り機による作業が容易になるという...良い事だらけですね。



刈り取り(かりとり)

籾が栄養を吸収し、稲穂は黄金色へとなります。田んぼ一面が黄金色へ輝き出せば、刈り取りの時期です。



稲架掛け(はさかけ)

刈り取った直後の籾は水分が多く、腐ったり、カビが生える、芽がでる等、お米の品質が悪くなります。稲架掛け乾燥は、機械乾燥に比べて、ゆっくり乾燥するので割れや味の低下が少ないとされています。



脱穀(だっこく)

2週間ほど天日干しされた稲は茶色く乾燥していきます。脱穀機を使って籾と藁に分けて行きます。



籾すり(もみすり)

籾から籾殻を取り除いて玄米にする作業で、脱っぷとも言います。



精米(せいまい)

玄米の状態では、お米は糖層に覆われています。玄米から糠と胚芽を取り除く作業が精米です。



炊飯(すいはん)

精米されたお米をご飯にするために、炊飯します。我が家では竈門を使っています。